商標の更新時に最初に登録した区分を減らすことはできますか?
商標の更新時に最初に登録した区分を減らすことはできますか?
商標法第20条第1項においては、商標権の存続期間の更新登録を申請する際の申請書の記載事項について規定されており、第1号で、申請人の氏名又は名称及び住所又は居所、第2号で、商標登録の登録番号、第3号で、第1号及び第2号で掲げるものの他、経済産業省令で定める事項、がそれぞれ規定されております。
ところで、この第3号でいうところの経済産業省令とは、商標法施行規則のことであり、具体的には同規則の第11条のことです。その第11条には、次のように記載されています。
全文を引用すると、「商標法第20条第1号第3項の経済産業省令で定める事項は、商標権に係る商品及び役務を減じて申請する場合にあっては、更新登録を求める商品及び役務の区分とする」とあります。
このように、更新登録申請の際、法令が最初に登録した区分を減じた申請が行われることを当然に想定しているわけですから、商標の更新時に最初に登録した商品及び役務の区分を減らすことは可能です。
その具体的な方法としては、法令にある通り、更新登録申請書に通常の申請の場合の記載事項である、申請人の氏名又は名称及び住所又は居所、商標登録の登録番号の他に、「商品及び役務の区分」の欄を新たに設けて、今回、登録の更新を申請する際に更新登録を求める商品の役務の区分のみをその欄に記載して更新の登録を申請すればよいわけです。
このことにより、最初の一出願多区分で登録されている商標権について、今回の更新登録申請の際に申請書に記載されなかった区分に関する商標権の効力については、存続期間の満了の日から6ヶ月を経過した日に、存続期間の満了の日に遡って自動的に消滅します。
つまり、商標権は記載した区分のみについてのみ効力を有する商標に関する権利として、その有効範囲を減じた形式で更新申請が承認されたのち、10年間はその効力を維持することになります。
このように、商標登録の更新時で最初に登録した商品及び役務の区分を減じることは、登録した商標の変更の申請等の特別な手続きを経ることなく、更新の際に更新を希望する区分のみを申請書に記載するという、比較的簡単な手続きによって可能となります。
更新の申請時期まで待つ必要はありますが、特別に独立した変更申請が不要な分、費用も掛かりませんし労力もかかりません。商標権の変更に関するその他の変更と比較して、この区分を減じる変更はとても簡単な変更手続きといえます。
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